終わったら誰もがそっとうなづく。
終わったら誰もがそっとうなづく映画を見た。
映画館の空は現実の空とは似ても似つかない。真っ黒でどこまでも遠い闇だった。
外に出て、ビールの自動販売機を探す。
最近みかけなくなったとはいえ、まったくあまりにもなさ過ぎる。
やっと見つけてスーパードライを飲み、午前中からこんなに暑くて酔っ払った一日は、ひさしぶりだな、と思う。
それは2005年の六月のあの時以来だ。二交代勤務の工場勤めは、予想以上にきつく、週代わりで日勤夜勤日勤夜勤とやられた日には、もうテンションがたおちである。
ある日、日勤を五時で終えた金曜日に、俺はふっと町へ出た。
町には他愛もないもののおよそすべてがあふれており、このなかで格別の週末を過ごす者など、だれひとりいないような空気に満ちていた。それが2005年の6月であった。