やつがきた

やつがつれをつれてきた。二泊していった。基本的にはやつらの旅なので、俺はまあ適度に余計なことをしていた。

一日目は夜中についたのでほどほどに話した。やつらがついた時点で俺はビールをしこたまのんでいた。そのあともしこたま飲んだ。俺一人で。やつのつれと俺は初対面だったが、営業のアレで俺は最早人見知りをしているのかどうかとかはわからなくなっているため、まあ適当にしゃべった。やつはPCを持ってきていて、その多忙ぶりが伺われた。

やつと俺はまったくというほど方向性を異にしているが、それがなんだというのだろうか。おれはただあらゆるものを面白がってみていた。やつらは疲れていたらしい。翌日にそなえて結構すぐ寝た。俺は一人ビールを飲み終えるまでおきていて、やがてねた。

次の日は、小便がしたくて七時におきてしまった。おきてしまったのでまあいいやと目覚め、三人分のコーヒーを入れた。晴れていた。特にすることもないのでずーっと音楽を聴いていた。やつのつれが起きてきた。また寝るのかと思ったらそうでもなく、ぼんやりとした頭はそのままに、ぼそぼそとしゃべった。それは高校のころのことだったり、今のことだったり、やつのことだったりしたのだろうが、ほとんど覚えてない。昨日から俺がよくもらいものの話をしていたので、「これももらいもの?」とかそんなことばっかいってた。いろんな人が寄ってくる人の話をした気がする。俺が突然部活の話をし出したので、やつのつれはついに気付いたようだ。俺の話が突拍子もないところから沸いては消えていくのだ、ということを。

そうこうしているうちに、やつが目覚めたり、やつのつれが再び眠ったりして、とにかく朝は過ぎていこうとしていた。やつのつれは体調がいまひとつらしい。やつらは電話でおはぎの予約をしていた。


電車に乗った。やつらのその日の予定を見た。いい写真も見た。京都駅でおれは離脱し、「ますたに」にラーメンを食いにいった。うわさどおり人が並んでいた。メニューの少なさは「しのぶ」を髣髴とさせた。麺はうまかった。まあスープもうまかったよ。やさしさが足りなかった。

京阪の三条の駅でやつらを見かけた。俺は間違って逆のホームにいた。あほだ。一緒に出町柳にいって寮に向かった。それから先はまあいいだろう。寮は禁煙なのでおれは途中一服しに外に出た。一服しているとやつのつれが歩いてきた。探検してたらしい。そして質疑応答が始まり、高校のころの話をひたすらした。「いつも一緒にいたの?」ときかれたが、正直いって俺たちはいつも一緒にいたかどうかわからない。俺はその一言で、これは一周忌の集いなのだと気付いた。

そして過去を知ることの難しさに気付いた。そのあとは帰ってビール飲んで風呂はいって寝た。ポストに鍵がある。やつらは無事帰ったのだろう。

そして少しさびしくなった部屋で、俺は玄関一面に灯油があふれていくのを、呆然と見つめ、その後あわててそいつらを片付けた。